・理学療法士の給料ってどうして安いんだろう?
・仕事のやりがいはあるけど、昇給が少なすぎて将来が不安
・何かを変えたいけど、どうしたらいいのかわからない
これらの疑問・悩みを解決します。
- 理学療法士の給料が安い原因5選を解説
- 現状の仕事を続けるリスクと損失
- 給料が安いことに不満を持っている人が取り組むべき対策4選
本記事では理学療法士の給料が安い原因を徹底解説。
なぜ給料が安いのか原因を把握することで、人とは違う対策を取ることができるようになります。
理学療法士の給料が安いことが原因で、休日も訪問のバイトをしているという人は是非読んでください。
理学療法士の給料が安い原因5選の解説
理学療法士の給料が安い原因は以下の5つ。
- 人数の増加
- 初任給の低下
- 1単位20分と1日の単位数の限界
- 技術があっても売上は同じ
- 開業できない
1つずつ解説していきます。
1.人数の増加
こっちゃん
ちゃんけん
・理学療法士の国家試験の合格者の推移
2000年までは多くても年間1000人〜2000人の合格者でした。
1999年4月の養成施設カリキュラム改訂により、急速に数が増えていき現在では年に約1万人が理学療法士の資格を取得しています。
・なぜ人数が増えると給料が安くなるのかを解説
ダイヤモンドに例えてみましょう。
例:ダイヤモンドに価値があるのは数が少ないからですよね。
もし、道にダイヤモンドが転がっていれば、誰も高額なお金を出して買わなくなります。
理学療法士も同じ。
たくさんいれば変わりがいくらでもいるので、給料を多く出してくれなくなります。
給料は需要と供給のバランスで決まると言っても過言ではありません。
2.初任給の低下
こっちゃん
ちゃんけん
私が約2年前(2018年)に就職活動していた時の初任給のイメージは病院は20万円前後、老人保健施設や個人のクリニックは23万円前後といった感じでした。
・初任給の低下による生涯年収の差について
初任給が21万円と27万円を比較して、10年間の総収入の変化をまとめました。
注意点として
・賞与は含めていません。
・昇給はどちらも年5千円。
初任給6万円の差があって、昇級が同じ場合グラフのような年収推移。
10年後には総額で720万円の差になります。
賞与を含めるともっと大きな差になり、10年で約2年分の収入が初任給の差で出てきます。
これが30年続くと約2000万円の差額になるので、老後2000万円問題が一時話題になりましたが、初任給の差だけで2000万円問題も解決できてしまいます。
・初任給は今後上がるのか
初任給が今後上がる可能性は残念ながら小さそうです。
- 人数の増加
- 国の方針は医療費を削減する方向
- 現役PTの人件費が高くなって、相対的に初任給が安くなる
現役PTの平均年齢は30代前半と若い。
今の20代、30代が10年後、20年後も同じ職場で勤務していた場合、一定の昇給があるので給料が高くなっていきます。
これにより人件費が経営を圧迫するので、初任給が今後上がる可能性は低そうです。
3.1単位20分と1日の単位数の限界
こっちゃん
ちゃんけん
・理学療法士の生産性(売上)の限界について
理学療法士が働くにあたって守らなければならないルールがあります。
- 1単位は20分
- 1日あたり24単位まで
- 1週間あたり108単位まで
- 疾患ごとに1単位あたりの点数は決まっている
この4つのルールがあるため理学療法士が生み出す利益には限界があります。
1日あたり24単位に対して1週間108単位が限度になっています。
週5勤務で毎日24単位行うことは不可能なため、1日18単位〜20単位ぐらいを目標に取り組んでいる施設が多いです。
疾患ごとの1単位あたりの点数(2020年2月現在)
脳血管 | 運動器 | 廃用症候群 | 心大血管 | 呼吸器 |
245点 | 185点 | 180点 | 205点 | 175点 |
※施設基準や標準算定日数はここでは省略。
1点あたり10円になります。
運動器疾患の患者さんに20分間リハビリを行った場合は1850円が売上。
仮に年間休日120日で、残り245日で運動器疾患のリハビリを1日20単位した場合
1850×20×245=9,065,000円が年間のPTの生産性(売上)になります。
計画書や早期加算などで売上は更に上がりますが、現場で働いていると書類作成などが生じるので毎日20単位は厳しいですよね。
18単位ぐらいが平均になるので、セラピスト1人あたりの売上が900万円出ていれば十分すぎると思います。
ちゃんけん
こっちゃん
・売上が900万円あっても400万円しか給料がもらえない理由
経営をしていると人件費以外にも必要な経費ってたくさんあります。
- 医薬品・医療材料費
- 地代家賃
- 人件費
- 医療機器リース料
- 衛生・清掃費
- 電気光熱費
他にも細かく分類すればたくさんありますが、このような費用が経営する上でかかります。
これらを売上から払わないといけないので、人件費を売上の40~50%ぐらいの比率に抑えないと経営破綻に繋がってきます。
売上900万円の40%~50%なので360万円〜450万円が適正な給料。
人件費には会社が半分負担してくれている社会保険料などが含まれているので、320~410万円ぐらいが手取り年収になってきます。
4.技術があっても売上は同じ
こっちゃん
ちゃんけん
理学療法士は技術ではなく時間を切り売りしている。
医者や看護師は処置に対して報酬をもらっていますが、理学療法士は20分の時間あたりで報酬をもらっています。
技術があって成果をだせたとしても、治療できる人数には限度がありかつ20分以上は行わないといけません。
認定理学療法士などの上位資格を持っていても売上は変わらない。
このような報酬形態が現状。
1単位あたりの報酬が固定されている限り、理学療法士の給料は安いままになります。
- 1日に治療できる人数が限られる
- 経験年数や技術が上がっても給料を上げるメリットが病院側にない
- セラピストのモチベーションがなくなり、技術の低下に繋がる
病院によっては認定理学療法士の資格を持っていれば資格手当として給料が上がるところもあります。
経営に余裕があったり、リハビリに重きを置いている病院に限られるので、制度の改訂がないと根本の改善には繋がらなさそうですね。
5.開業できない
こっちゃん
ちゃんけん
医師の指示のもと理学療法を行うことが決まりなので、個人で開業して理学療法を提供することはできません。
この決まりがあるため、理学療法という枠組みから外れて開業する人は一定数います。
- デイサービス・訪問看護サービスの開設
- フリーランス(パーソナルトレーナーや講演)として活動
- 整体やマッサージ・エステサロンの開設
理学療法士として働いた経験を生かして開業しているケースが多いですね。
フリーランスであれば初期費用はかからないですが、施設や店舗を構えるとなるとまとまったお金が必要になります。
失敗した時のリスクも大きくなるので、安易に開業すると痛い目を見ることもありますよ。
理学療法士として給料が安い現場で働き続けるリスク
理学療法士として給料が安い現場で、何も行動を起こさずに仕事を続けていると、今後どのようなリスクが生じるのかを解説します。
- 収入に対して不満を持ち続ける人生を送る
- 経験年数だけが増えていき何もスキルが磨かれていない
- AIなどの技術進歩で理学療法士の必要人数が少なくなる
これらを1つずつ解説していきます。
収入に対して不満を持ち続ける人生を送る
理学療法士が陥りそうな社会人生活のモデルを紹介。
モチベーションがなく、不満ばかり持っている人がいい仕事をできるはずがありません。
このような気持ちが続くと、仕事だけでなく私生活にも影響を及ぼしてしまい、人生の質が低下していきます。
不満や不安を行動へのエネルギーに転換できるようになりましょう。
経験年数だけが増えて技術や知識が磨かれておらず首を切られる
何の実績や資格も取らないセラピストが経験年数だけ増えていった場合、会社内での立場が厳しくなることが予想されます。
給料が低い原因のところで技術があったとしても、新人とベテランの売上は同じと説明しました。
この制度が続く限り、会社側からすると技術や知識に大差がなければ、給料を多く払わないといけならないベテランを雇うメリットが全くないです。
- 認定理学療法士などの誰が見ても成果が分かりやすい資格の獲得
- 会社に貢献できて、自分にしかできない特化した役割を築く
- 主任・副主任といった管理職を目指す姿勢を持つ
どんなに知識や技術があっても形になっていないと企業は評価しづらいです。
認定理学療法士や会社に貢献できること(外部活動)などは、その人を評価できるので会社側からも必要とされるでしょう。
向上心はないけれど、今の職場で気楽に仕事を続けたいと考えていると、将来的に給料を下げられたり、首を切られる可能性も出てくるかもしれません。
AIなどの技術進歩で理学療法士の必要人数が少なくなる
こっちゃん
ちゃんけん
理学療法士が他職種と比べて優れているところは評価ができることです。
その評価がAIに変わった時、理学療法士の必要性が半減するでしょう。
- 歩行などの動作観察から問題点抽出
- 現病歴・既往歴・動作から治療プログラムの立案
- 可動域・筋力訓練を機械が最適な質と量で実施
これら3つは現在進行形で介入してきています。
- 人とのコミュニケーション
- 動作の介助
- リハビリ中の急変時の対応
- 生活環境などを考慮した適切なリハビリプログラム
AIは膨大なデータから適切な答えを導き出すことに優れているので、歩行観察などの分析には優れています。
しかし、対話や生活環境など1人1人対応が異なることに関しては、現状の技術では対応することが難しそうでうね。
理学療法士の仕事は無くならないが、1施設あたりの理学療法士の人数は少なくなっていくことが考えられます。
理学療法士の給料が安いことに不満のある人が取り組むべき対策4選
こっちゃん
ちゃんけん
この4つの対策は今日からすぐに誰でも始めることができます。
- 転職活動
- 節約・家計簿の見直し
- 資産形成
- 副業
何から手を付けていいか分からない人は、この順番で取り組んでみてください。
1.転職活動
こっちゃん
ちゃんけん
理学療法士は違う職場に行っても、求められるスキルが大きく変わらないので、転職へのハードルが一般職より低い職業です。
転職と聞いて、また面接受けるのめんどくさいなと思うかもしれませんが、待っていても現状はなにも変わってくれません。
また、転職活動にはたくさんのメリットもあります。
- 自分の市場価値を把握
- 違う職場の給料や福利厚生を知ることができる
- 自分の価値観を再確認できる
就活をしていた学生時代と、社会人になってからのでは、自分の価値観が大きく変わっているはずです。
自分の価値観をもう一度考える機会こそが転職活動の最大のメリットです。
転職活動を始めたとしても、必ずどこかに転職しないといけないわけではありません。
今の職場の方が良ければ変える必要はないです。
例え転職をしなくても、この3つのことを知ることで、次に取るべき行動が見えてきます。
転職サイトについてはこちらの記事を参考にしてください!
理学療法士・作業療法士にオススメの転職サイト『マイナビコメディカルについて』2.節約・家計簿の見直し
こっちゃん
ちゃんけん
見直し方の優先順位はこちら。
- 固定費の見直し
- 生活費の管理
- ポイント還元を上手く利用
毎月必ずかかる固定費(家賃・通信費・光熱費)は1度変更すれば後は何もしなくていいので、最初に取り組んでください。
生活費は月々によって変動があるので、月ごとにいくら使っているのかを把握しましょう。
最後にポイント還元や割引を上手く活用してください。
家計の見直しをする上で節約を考えすぎるのは、逆に長続きしないので注意してください。
3.資産形成
こっちゃん
ちゃんけん
投資に対して馴染みがないので、抵抗がある人は多いはず。
抵抗がある最大の理由は、投資は預金と違ってマイナスになる可能性があることだと思います。
評価額がマイナスになっても、精神状態が不安定にならないような投資方針を確立しましょう。
- 投資を始める前に生活防衛資金を貯めておく
- 自分のリスク許容度を把握
- チャートを毎日見ないといけないような投資先を選ばない
緊急用の現金を生活防衛資金として置いておき、毎月の余力資金を投資に回していきましょう。
チャートを毎日眺めるような投資は本職に影響が出るので、インデックス投資でコツコツ積み立てるのがおすすめです。
投資についてもっと知りたい方はこちら!
理学療法士の将来の不安を解消するためのインデックス投資について4.副業
こっちゃん
ちゃんけん
投資を始めると、だいたいの人は資金が少ないことに悩みます。
周りと比較する必要はありませんが、少しでも預金・投資に回せるお金は多い方がいいですよね。
会社員としての収入は限界があるので副業を始めてみましょう。
- ネット関連ビジネス
- 個人インストラクターやセミナー講師
休日に他施設でアルバイトをすることは私は勧めないです。
若い人であれば、他施設で色々な現場を見て学ぶ経験があってもいいかもしれません。
しかし、理学療法士の給料が安い理由や働き続けるリスクで説明したように、これまでの収入がこれからも維持できるとは限らないので、それはアルバイトも同様です。
本業と副業が同じビジネス形態だと、両方の給料が一緒に下がる可能性が高いですよね。
そこでオススメしたいのが個人の力を磨いていくことです。
誰かに雇われるのではなく、自分で価値を提供したり、仕事を依頼される人間を目指しましょう。
内容は理学療法士関連でなく自分が得意なこと・好きなことでもいいです。
ネット関連ビジネスであれば、初期投資がほとんどいらないのでtry&errorを繰り返して自分にあったビジネスを探してみましょう。
ブログの初め方を知りたい方はこちらの記事をどうぞ
理学療法士の副業でブログを始める方法『自分だけのコンテンツを作成』5.脱却するための対策手順
ここまでの情報量が多いので、最後に現状を脱却する方法の手順を簡単にまとめて見ました。
この手順を踏めば生活が変わっていくのを実感できますよ。
STEP4までは誰でもほとんど同じ成果が出るので、必ず行った方がいいです。
STEP5は人によって成果が変わってきますが、
自分で考えて行動するという経験は、たとえ失敗したとしても自分にとって大きな財産になるので、恐れずに取り組んでみましょう。
まとめ
理学療法士の給料が安い原因・続けるリスク・現状を脱却するための対策を説明してきました。
現状に不満があり、色々調べては悩んでを繰り返している人はたくさんいます。
そうならないためにまずは行動して見ましょう!
100%成功が約束されている方法なんてありません。
行動しながら少しずつ軌道修正することで、いい結果に繋がっていくと思います。
こっちゃん