伸張反射・自己抑制・相反抑制についてまとめ『理学療法士国家試験対策』

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今回は伸張反射・自己抑制・相反抑制について解説します。

この知識は国家試験だけでなく、臨床にも必要な知識になります。

暗記するだけでなく、しっかり理解しておきましょう。

本記事の内容
  • 伸張反射について
  • 自己抑制について
  • 相反抑制について
  • 実際の国家試験問題

伸張反射について

伸張反射は膝を叩くと足が上がる反射が有名ですよね。(脚気の検査・膝蓋腱反射)

伸張反射の特徴はこちら

生体内で唯一の単シナプス反射

筋紡錘が感知

単シナプス反射とはシナプスが1つしかなく、1回だけ線維を変えます。

伸張反射の流れはこちら

STEP1
外力により筋紡錘が伸張される
STEP2
筋紡錘にあるIa線維が脊髄に伝える
STEP3
α運動ニューロンが同筋に収縮命令を伝える

伸張反射についての流れをまとめた図はこちら

伸張反射についてまとめ

伸張反射は筋紡錘のIa線維と脊髄でα運動ニューロンとシナプスしていることをしっかり覚えておきましょう。

伸張反射は直立姿勢の保持に大きく関与しています。

自己抑制について

自己抑制は伸張反射とは逆の反応が見られます。

自己抑制の特徴はこちら

腱にある腱紡錘が感知

抑制性介在ニューロンが関与

自己抑制の流れはこちら

STEP1
筋が過剰に縮み、腱が伸張されてゴルジ腱器官が感知
STEP2
Ib線維を通して脊髄に伝える
STEP3
抑制性介在ニューロンを介してα運動ニューロンが同筋に弛緩命令を伝える

自己抑制についての流れをまとめた図はこちら

自己抑制についてまとめ

 

自己抑制はIb線維が関与しているので、Ib抑制と言われることもありますよ。

伸張反射と比べると脊髄内で2回シナプスしているのがわかりますね。

 

臨床で使えるワンポイント

脊髄損傷や脳血管障害の方で四肢の緊張が亢進している人に対して、四肢の受動伸展をすると初めは強い抵抗感を感じますが、ある一定のところで急に緊張がなくなります。『折りたたみナイフ現象』

この現象は自己抑制の作用を利用したストレッチになります。

※自己抑制については筋の収縮により腱が伸ばされると説明しましたが、この場合は筋緊張が亢進しているので伸張方向に力を加えることで、筋は伸びず腱が伸ばされていき自己抑制が起きます。

相反抑制について

相反抑制は動かしたい筋が動きやすいように拮抗筋が弛緩する作用です。

相反抑制の特徴はこちら

抑制性介在ニューロンを介して拮抗筋に作用する

相反抑制の流れはこちら

STEP1
外力により筋紡錘が伸張される
STEP2
Ia線維を通して脊髄に伝える
STEP3
抑制性介在ニューロンを介してα運動ニューロンが拮抗筋に弛緩命令を伝える

伸張反射と流れは似ていますが、この反射は拮抗筋に作用するので注意。

相反抑制についての流れをまとめた図はこちら

相反抑制についてまとめ

相反抑制は抑制性介在ニューロンを介して、拮抗筋に作用することをしっかり覚えておきましょう。

実際の国家試験問題について

伸張反射・自己抑制・相反抑制について実際にどのような形式で国家試験で問われていたのか確認していきます。

第56回 午後 問63

第56回 午後 問63

こっちゃん

下に答えを記載しているので、答えを見る前に問題を1度といて見てください。

この問題は伸張反射について問われている問題です。

伸張反射は単シナプス反射で関与するのは筋紡錘とIa線維とα運動ニューロンでしたね。

1番,3番,4番は先ほどの説明で自信を持って合っていると答えることができるはず。

 

5番の錐外線維が伸ばされると錐内線維は活動を増すについて

周囲の筋繊維が伸ばされると結果的に筋紡錘も伸ばされるので活動は増すので正解。

 

2番の痙縮では伸張反射が低下するについて

痙縮の病態を理解しておく必要があり、痙縮は相動性伸張反射が亢進している状態と言われています。

相同性伸張反射について説明すると

伸張反射は相同性伸張反射と緊張性伸張反射の2つに分けることができます。

相同性は伸張される速度に関与して、緊張性は筋の長さに関与します。

相同性伸張反射が亢進した状態を痙縮

緊張性伸張反射が亢進した状態を固縮という。

国家試験ではここまでの知識を問われることがないと思いますが、痙縮・固縮の状態は伸張反射が亢進している状態であるということは頭の片隅に置いておきましょう。

伸張反射について誤っているのは2番になります。

第55回 午後 問64

第55回 午後 問64

この問題は筋紡錘の神経線維に関する問題です。

今回説明していないⅡやγが問題では問われています。

まず知っておかないといけないことは神経繊維には2種類あるということです。

運動神経線維

感覚神経繊維

伸張反射で説明するとIa線維は感覚神経線維・α運動ニューロンは運動神経線維になります。

今回の問題は筋紡錘に関与する感覚神経繊維なので4番のα運動ニューロンは不正解で1番のIa線維は正解。

Ib線維は自己抑制で出てきましたね。

Ib線維は感覚神経線維ですが、腱にあるゴルジ腱器官の神経線維なので2番は不正解。

3番のⅡ線維は感覚神経繊維で、筋紡錘にあります。

作用は筋が伸ばされて一定時間立つと活動する感覚神経繊維なので今回の反射に関する説明では出てきていませんが、筋紡錘にある感覚神経繊維なので3は正しい。

γは運動神経繊維なので、不正解。

γ運動ニューロンについては錐内筋繊維の外側に付着しており、活動が亢進すると中央にある筋紡錘は伸張されます。

筋紡錘の感覚神経繊維で正しいのは1番のIa線維と3番のⅡ線維になります。

さいごに

今回は伸張反射・自己抑制・相反抑制についてまとめました。

これは基礎の部分なので国家試験の反射に関する問題を全て解けるわけではありませんが、先ほどの実際の国家試験の問題を解いてもらったらわかるように選択肢を3つぐらい自信を持って選んだり、削ったりすることができます。

こっちゃん

まずは基礎を理解して、そこから知識を付け足していきましょう。

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