今回は理学療法士国家試験対策として下肢の骨折についてまとめていきます。
上肢の骨折ほど種類はありませんが、臨床に出ると下肢の骨折の方が治療することが多いのでしっかり把握しておきましょう。
下肢の骨折の種類と特徴
大腿・下腿・足部の3種類に分けて解説していきます。
大腿骨折について
大腿骨折の種類は以下の3つがあります。
- 大腿骨頸部骨折
- 大腿骨骨幹部骨折
- 大腿骨顆上骨折
1つずつ解説していきます。
大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部骨折の特徴はこちら
- 高齢者に多い
- Garden分類により骨折の症状が分けられる
- 骨頭壊死する可能性がある
大腿骨頸部骨折は高齢者に多い骨折の1つである。
高齢者に多い骨折はこちら
- 脊椎椎体圧迫骨折
- 大腿骨頸部骨折
- 橈骨遠位端骨折
- 上腕骨近位端骨折
大腿骨骨幹部骨折
大腿骨骨幹部骨折の特徴はこちら
- 交通事故などの外傷によって発症することが多い
- 偽関節や変形癒合することがある
- 成人以降は手術による適応が多い
大腿骨顆上骨折
大腿骨顆上骨折の特徴はこちら
- 直達外力や転落によって発症
- 膝関節拘縮を起こしやすい
下腿骨折について
下腿骨折の種類は以下の4つがあります。
- 膝蓋骨骨折
- 脛骨近位端骨折
- 下腿骨骨折
- 果部骨折
1つずつ解説していきます。
※膝蓋骨骨折は膝蓋骨の骨折なので脛骨・腓骨の骨折ではありませんが、分けるとわかりにくいので下腿骨折に入れています。
膝蓋骨骨折
膝蓋骨骨折の受傷機転はこちら
- 膝蓋部に直接外力が加わる
- 大腿四頭筋が強く緊張して膝蓋骨を引き離す
脛骨近位端骨折
脛骨近位端骨折の特徴はこちら
- 内側側副靱帯や十字靭帯の断裂を伴うことがある
- 膝関節拘縮の原因になりやすい
下腿骨骨折
下腿骨骨折の特徴はこちら
- 交通事故の外傷などで発症することが多い
- 下腿中央部〜下部1/3のところで折れることが多い
果部骨折
果部骨折の特徴はこちら
- 転倒や転落により内果・外果・両方の骨折がある
内果・外果骨折に脛骨関節後縁の骨折を伴う場合を3果骨折『Cotton(コットン)骨折』という。
腓骨骨折に三角靭帯または内果骨折を伴う骨折『Dupuytren骨折(Pott骨折)』という。
足部骨折について
足部の骨折は以下の2つがあります。
- 踵骨骨折
- 中足骨・足趾骨折
1つずつ解説していきます。
踵骨骨折
踵骨骨折の特徴はこちら
- 高所からの墜落によって受賞することが多い
- 踵骨は扁平化してBohler(ベーラー角)が減少する
ベーラー角の正常角度は20°〜30°
中足骨・足趾骨折
中足骨・足趾骨折の特徴はこちら
- 重量物の落下や機械に挟まれて受傷することが多い
下肢の骨折に関する国家試験問題
下肢にだけ関する問題は少ないですが、実際の国家試験問題を紹介。
第56回 午前 問86 問題
問 骨折の名称と部位の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. Cotton骨折ー大腿骨
2. Dupuytren骨折ー第1中手骨
3. Galeazzi骨折ー橈骨
4. Jefferson骨折ー環椎
5. Straddle骨折ー上腕骨
第56回 午前 問86 解説
1 cotton骨折は内果・外果骨折に脛骨関節後縁の骨折を伴う場合の骨折 ×
2 Dupuytren骨折は腓骨骨折に三角靭帯または内果骨折を伴う骨折 ×
3 Gαleazzi骨折は橈骨の骨折 ◯
4 Jefferson骨折は第1環椎の前弓と後弓の破裂骨折 ◯
5 Straddle骨折は骨盤骨折の1つ ×
正解 3 , 4
第50回 午後 問90 問題
問 骨折の名称と部位の組み合わせで正しいのはどれか。
1. Monteggia骨折ー上腕骨
2. Cotton骨折ー橈骨
3. Malgaigne骨折ー骨盤
4. Jefferson骨折ー大腿骨
5. Bennett骨折ー脛骨
第50回 午後 問90 解説
1 Monteggia骨折は尺骨骨幹部の骨折 ×
2 cotton骨折は内果・外果骨折に脛骨関節後縁の骨折を伴う場合の骨折 ×
3 Malgaigne骨折は骨盤骨折 ◯
4 Jefferson骨折は第1環椎の前弓と後弓の破裂骨折 ×
5 Bennett骨折は第1中手骨基部の関節内骨折 ×
正解 3
おわりに
今回は下肢骨折の種類とまとめを紹介しました。
骨折の問題は下肢だけでなく、上肢の問題と複合ででていることが多いですね。
上肢の骨折についてはこちらの記事でまとめているので確認しておきましょう。
上肢骨折の種類と症状のまとめ『理学療法士国家試験対策』