今回は臨床心理学の心理テストについてまとめていきます。
心理テストって理学療法士の学生にとってあまり馴染みがないので毛嫌いしている人が多いですよね。
細かい中身まで問われる問題は少ないので、少し勉強をすれば心理テストの問題を解くことができますよ。
『臨床心理学』心理テストまとめ
心理テストの種類は大きくわけて2つあります。
- 知能・発達3検査
- 人格検査
これら2つに分けてまとめていきます。
知能・発達検査
知能・発達検査は以下の6つがあります。
- WAIS-Ⅲ
- WICS-Ⅲ
- WPPSI
- ビネー式(田中・鈴木)検査
- HDS-R
- MMSE
- Kohs立方体組み合わせテスト
それぞれ国家試験に必要な知識レベルで解説していきます。
WAIS-Ⅲ・WICS-Ⅲ・WPPSI
この3つの検査はウェクスラーが開発した検査になります。
- WPPSI 幼児向け知能検査 (3歳10ヶ月~7歳1ヶ月)
- WICS-Ⅲ 学童・思春期向け知能検査 (5歳~16歳11ヶ月)
- WAIS-Ⅲ 成人向け知能検査 (16歳以上~89歳以下)
評価尺度は言語性・動作性の2つに分けられ7つの下位尺度があり、結果はIQで算出。
英語ばかり3つが並んでいて覚えにくいですよね。
私が現役の時はWの次の文字のA I P だけ覚えておいて、ABC順で後ろに行くにつれて若年者のテストになると覚えていました。
英語が得意な人は A adult(大人) C children(子供) P primary(幼児) で覚えておくと間違えることはなくなるはずです。
ビネー式(田中・鈴木)検査
ビネー式は乳幼児・児童・精神遅滞のに用いられる知能・発達検査。
- 年齢に応じた検査を行う
- 精神年齢を算出するのが特徴
HDS-R
HDS-Rは理学療法士の学生にとって実習でもよく検査するので馴染みがありますね。
HDS-Rの検査項目は以下の9つ(項目はテストでは問われませんが臨床でも使えるので覚えておいて損はないです)
- 年齢
- 日時の見当識
- 場所の見当識
- 言葉の記銘
- 言葉の遅延再生
- 計算
- 数字の逆唱
- 物品再生
- 言語の流暢性
これらの項目全てで30点満点です。
20点以下は軽度以上の認知症と判断されます。
MMSE
MMSEもHDS-Rと似たような認知機能検査になります。
MMSEの検査項目はこちら
- 時間の見当識
- 場所の見当識
- 3単語の即時再生
- 3単語の遅延再生
- 計算
- 物品呼称
- 文章復唱
- 3段階の口頭命令
- 書字命令
- 文書書字
- 図形模写
HDS-Rとの違いとしては口頭指示を理解する、文書書字などの言語能力と図形を見ながら模写する構成能力がMMSEの検査には含まれています。
Kohs立方体組み合わせテスト
- 各面に色が塗られた立方体を組み合わせる作業式知能テスト
- 文字・言語を用いず、検査時間も短いので、聴覚障害者や高齢者の知能検査にも用いられたり、認知機能や障害者向けのリハビリテーションにも利用される
人格検査
人格検査は質問紙法・投影法・作業法の3種類に分けられます。
質問紙法の検査はこちら
- Y-G検査
- TEG
- MMPI
- CMI
- MPI
- NEO-PI-R
Y-G検査
- 13因子120項目からなる検査
- 因子ごとの得点により性格を類似化する
TEG
TEGは東大式エコグラムの略です。
- 53項目からなる人格検査
- 個々の人格を知ることに特化した検査
MMPI
MMPIはミネソタ多面人格目録の略です。
550の質問に対してあてはまる・あてはまらない・どちらでもないの3件法で答える人格検査
CMI
CMIはコーネルメディカルインデックスの略です。
身体的自覚症状・精神的自覚症状についてそえぞれ200項目の検査がある
MPI
MPIはモーズレイ性格検査の略です。
- 2つの性格特性(外・内向性と神経症的傾向)を検査できる
- 検査はそれぞれ24項目ずつの質問が用意されている
NEO-PI-R
NEO-PI-Rの特徴はこちら
- 240項目の質問を5段階で答える
- 人格特性の5つの主要な次元を測る(神経症傾向・外向性・開放性・調和性・誠実性)
投影法の検査はこちら
- TAT
- P-Fスタディ
- ロールシャッハテスト
- バウムテスト
- SCT
TAT
TATは絵画統覚検査の略です。
絵を1枚ずつ見せて、その場面の過去・現在・未来について語ってもらい心理分析を行う。
P-Fスタディ
絵画欲求不満テストとも呼ばれる投影法を用いた心理検査の1つ
- 無意識的な心理的内容を絵画に投影させる方法
- ある場面が描かれた吹き出しに自由に記載させる
ロールシャッハテスト
ロールシャッハテストの特徴はこちら
- 10枚の図を見せて、どのように見えるのか答えさせその答えから人格面を調べる検査
- 意識化されていない部分を見ることができる
バウムテスト
バウムテストの特徴はこちら
- 1本の実のなる木をできるだけ十分に描いてもらい、そこから心理状態を分析する
- 絵を描くだけなので子供にも利用することができる
SCT
SCT(Sentence Complecation Test)は文章完成テストのことを言います。
用紙にいくつかの単語や未完成の文があり、その続きを患者に完成させてもらう
作業法の検査はこちら
- ベンダー・ゲシュタルト・テスト
- 内田・クレペリンテスト
ベンダー・ゲシュタルト・テスト
ベンダー・ゲシュタルト・テストの特徴はこちら
- 視覚構成運動能力検査
- 9種類の図形を模写させて評価
- 視覚・運動の発達の程度だけでなく、器質的脳疾患や認知機能の評価に使われる
内田・クレペリンテスト
内田クレペリンテストの特徴はこちら
- 被験者に一定時間を計算をさせ続ける
- 作業量・集中力・注意力などの作業能力と性格傾向を把握
心理テストまとめノート
心理テストについてのまとめノートを紹介。
これだけの文字を1度見て覚えるのは難しいので、このノートを保存してぜひ活用してみてください。
知能・発達検査のまとめノート
知能・発達検査のまとめノートはこちら
人格検査のまとめノート
人格検査のまとめノートはこちら
こっちゃん
理学療法士国家試験問題『心理テスト』
実際に理学療法士国家試験問題で出題された心理テストを紹介。
①第56回 午前 問79
イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式の心理検査はどれか。
1. SCT
2. P-Fスタディ
3. バウムテスト
4. モーズレイ性格検査(MPI)
5. Revised NEO Personality Inventory (NEO-PI-R)
②第55回 午後 問81
心理検査と評価内容の組合せとして適切なのはどれか。
1. SCTー認知機能
2. WCSTー自我状態
3. P-Fスタディー認知症介護負担度
4. Rorschachテストー自己効力感
5. 内田クレペリン精神テストー性格・行動面の特徴
解答
①はイラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む問題なので、正解は2番のP-Fスタディ
②は心理検査と評価内容に関するテストで正解は5番の内田クレペリンテストです。
SCT・P-Fスタディ・ロールシャッハテストは人格検査
WCSTは前頭葉の検査
WCSTの特徴
4つの色と形が描かれた4枚のカードが並べられており、被験者は手元にあるカードを分類ごとに並べる
さいごに
今回は臨床心理学の心理テストについてまとめました。
理学療法士の国家試験でも頻出問題なのでしっかり覚えておきましょう。
過去の国家試験問題を見てもわかるようにそこまで深く知識を求められないので、検査名と検査の特徴を押さえておきましょう。
まとめノートは勉強に活用してください。
こっちゃん