今回は理学療法士の国家試験対策として整形外科学の中の上肢の骨折についてまとめノートの紹介と解説をしていきます。
毎年出るような頻出問題ではありませんが、覚えておくだけで解ける問題もあるので学生は勉強しておきましょう。
将来、運動器の疾患をメインにリハビリしたい人も覚えておいて損はないです。
上肢骨折の種類と症状
上腕・前腕・手指の3つに分けて紹介していきます。
上腕の骨折
上腕の骨折はこちらの4種類
- 上腕骨近位端骨折
- 上腕骨骨幹部骨折
- 上腕骨顆上骨折
- 上腕骨外顆骨折
1つずつ解説していきます。
上腕骨近位端骨折
近位端骨折で押さえておくべき内容はこちら
- 高齢者に多い
- 腋窩神経・腋窩動静脈を損傷する事がある
- Neer分類により骨折部位が分けられる
Neer分類は①解剖頸②外科頸③大結節④小結節に分けられる。
上腕骨骨幹部骨折
骨幹部骨折で押さえておくべき内容はこちら
- 橈骨神経麻痺を生じることがある(下垂手)
外的要因だけでなく、捻転力(腕相撲や投球)により骨折することもある珍しい骨折です。
上腕骨顆上骨折
顆上骨折で押さえておくべき内容はこちら
- 肘を伸展した状態で転倒した時に骨折しやすい部位
- 小児で頻度の高い骨折
- 合併症で正中・橈骨の神経麻痺やフォルクマン拘縮・内反変形が起こることもある
小児に起きやすい骨折はいくつかありよく問われます。
顆上骨折はその中の1つなので覚えておきましょう。
上腕骨外顆骨折
外顆骨折で押さえておくべき内容はこちら
- 幼少児に多い
- 放置していると偽関節が生じ、外反変形する
- 遅発性尺骨神経麻痺を生じる可能性がある
顆上骨折は内反変形でしたが、外顆骨折では外反変形が生じやすいので間違いないように注意しましょう。
前腕の骨折
前腕の骨折はこちらの3種類
- 肘頭骨折
- 橈骨・尺骨骨幹部骨折
- 前腕遠位端骨折
1つずつまとめていきます。
肘頭骨折
肘頭骨折で押さえておくべき内容はこちら
- 受傷機転として外力が加わる粉砕骨折と上腕三頭筋の牽引力による横骨折の2種類ある
- 好発年齢は問わない
肘頭骨折について覚えることは少ないです。
外力や牽引による骨折なので年齢は問わないです。
橈骨・尺骨骨幹部骨折
頭骨・尺骨骨幹部骨折について押さえておくべき内容はこちら
- 変形治癒した場合は回内・回外拘縮がおこる
- フォルクマン拘縮が生じる可能性がある
- 脱臼した場合はGaleazzi骨折とMonteggia骨折の2種類がある
Galeazzi骨折とMonteggia骨折についてまとめておきます。
橈骨が骨折して短縮転移し、尺骨遠位端の脱臼を合併したもの
前腕回内力が作用し、尺骨骨折後に肘関節から橈骨骨頭が脱臼したもの
尺骨が脱臼するのがGaleazzi骨折・頭骨が脱臼するのがMontegia骨折であることは押さえておきましょう。
前腕遠位端骨折
前腕遠位端骨折について押さえておくべき内容はこちら
- 高齢者に多い
- Colles骨折とSmith骨折の2種類がある
- 正中神経麻痺が生じる事がある
Colles骨折とSmith骨折については頻出問題なのでそれぞれまとめておきます。
手掌をついて転倒した際に生じる。末端骨片は背側に転移するので外見上からフォーク状変形とも呼ばれる。
手背をついて転倒した際に生じる。末端骨片は掌側に転移する。
補足:橈骨遠位部の関節内骨折はBarton骨折といいます。
手指の骨折
手指の骨折はこちらの2種類
- Bennett骨折
- Mallet骨折
1つずつ解説していきます。
Bennett骨折
Bennett骨折について押さえておくべき内容はこちら
- Bennett骨折は第一中手骨基部の骨折
- 転移したまま骨癒合すると対立障害が起こる
中手骨折の中でもBennett骨折が特に問題で出題されます。
Mallet骨折
Mallett骨折について押さえておくべき内容はこちら
- 手指末節骨の背側への剥離骨折をMallett骨折と呼ばれる
- 腱損傷を合併する可能性がある。
上肢の骨折まとめノート
ここまでの上肢の骨折についてまとめたノートを紹介します。
いつでも見直しができるように画像を保存して利用してください。
上肢の骨折まとめノート
何回も見直して過去問を解けば暗記するまでそこまで時間はかからないですよ。
上肢の骨折に関する国家試験問題
実際に上肢の骨折に関する国家試験の問題と解説をしていきます。
第52回 午後 問85 問題
問 上腕骨顆上骨折で正しいのはどれか。
1. 老年期に多い
2. 原則として手術を行う
3. 外反肘を生じる事が多い
4. 前腕の循環不全を生じやすい
5. 肘関節屈曲位での受傷が多い
第52回 午後 問85 解説
上腕骨顆上骨折は小児に多い骨折であるため1番は不正解。
小児期の骨折であるため手術することは稀であり、保存療法が多いため2番は不正解。
上腕骨顆上骨折は内反肘変形を生じる事が多く、外反肘変形が起こるのは上腕骨外顆骨折であるため3番は不正解。
上腕動脈が近位を走行しているため前腕の循環不全を生じやすい(結果としてフォルクマン拘縮が起こる)ため4番が正解。
肘関節伸展位での受傷が多いため5番は不正解。
第49回 午後 問87 問題
骨折の名称と部位の組合せで正しいのはどれか。
1. Barton骨折 ー 尺骨遠位端
2. Bennett骨折 ー 第2中手骨折
3. Colles骨折 ー 上腕骨骨幹部骨折
4. Monteggia骨折 ー 橈骨骨幹部骨折
5. Smith骨折 ー 橈骨遠位端骨折
第49回 午後 問87 解説
Barton骨折は橈骨遠位端の関節内骨折であるため1番は不正解。
Bennett骨折は第1中手骨基部の関節内骨折であるため2番は不正解。
Colless骨折は前腕の遠位端骨折であるため3番は不正解。
Monteggia骨折は尺骨骨幹部骨折に橈骨頭の脱臼が生じる骨折であるため4番は不正解。
Smith骨折は前腕の遠位(橈骨)端骨折であるため5番が正解。
おわりに
今回は上肢骨折の種類とまとめを紹介しました。
国試ではここ数年問われていませんが、そういった問題が突然今年でたりするのが国家試験の特徴でもあるので、しっかり勉強しておきましょう。
勉強用のノートも画像にあるので保存して活用してください。
こっちゃん